部下に仕事を任せるたびに、
「時間がなくてできませんでした」
「それは自分の担当ではないと思っていました」
そんな言い訳を聞くたび、正直疲れてしまいますよね。
強く叱れば一時的に静かになるかもしれません。
でも、また同じことが起きてしまい、「どう接すればいいのか分からない」と感じている上司の方も多いのではないでしょうか。
実は、言い訳ばかりする部下は、やる気がないのではなく、不安や自信のなさを抱えているケースが少なくありません。
そのため、叱るだけでは根本的な改善にはつながらないのです。
この記事では、言い訳ばかりする部下の心理や原因をひも解きながら、
叱らずに、少しずつ行動を変えていく5つの指導法をお伝えします。
部下との関係に悩み、毎日の仕事がつらくなっている方が、
「これならできそう」と思えるヒントを見つけていただけたら幸いです。
なぜ部下は言い訳ばかりするのか?【原因と心理】

言い訳ばかりする部下を見ると、
「やる気がないのでは?」
「責任感が足りないのでは?」
と思ってしまいがちです。
ですが、実際には怠けているから言い訳をしているとは限りません。
多くの場合、その背景には不安や恐れ、自信のなさといった心理があります。
ここでは、言い訳が多くなる部下に共通しやすい原因を見ていきましょう。
責任を取るのが怖い
言い訳が多い部下は、
「失敗したら評価が下がるのではないか」
「迷惑をかけたらどうしよう」
と、責任を取ることに強い不安を感じています。
そのため、自分のミスを認める前に
- 環境のせいにする
- 他の業務が忙しかったと説明する
といった形で、自分を守ろうとします。
これは逃げというより、失敗から身を守るための行動と言えるでしょう。
怒られることへの恐怖心が強い
過去に強く叱られた経験があると、
「もう二度と怒られたくない」という気持ちが先に立ちます。
その結果、
- 分からないことを聞けない
- 難しそうな仕事を避ける
- 言い訳でその場をやり過ごす
といった行動につながってしまいます。
本人なりに必死に自分を守っているつもりでも、
結果として仕事が前に進まなくなってしまいます。
仕事に対する自信がない
言い訳が多い部下の中には、
「自分にはこの仕事は難しい」
「失敗するくらいなら最初からやらない方がいい」
と感じている人もいます。
本当は助けを求めたいのに、
プライドや恥ずかしさから素直に言えず、
言い訳という形で距離を取ってしまうのです。
当事者意識が育っていない
仕事を「自分の役割」として捉えられていない場合も、
言い訳が増えやすくなります。
- どこまでやればいいのか分からない
- 自分がやらなくても誰かがやってくれると思っている
こうした状態では、最後まで責任を持って取り組む意識が育ちにくくなります。
言い訳ばかりする部下の行動は、
性格の問題ではなく、関わり方や環境の影響が大きいケースがほとんどです。
次の章では、
なぜ「叱る」指導が逆効果になりやすいのかについて解説していきます。
言い訳ばかりする部下を叱ると逆効果な理由

部下が言い訳をすると、
「まずは反省してほしい」
「はっきり注意しないと伝わらない」
そう感じるのは自然なことです。
上司として責任を持っているからこそ、
つい厳しい言葉をかけたくなる場面もあるでしょう。
しかし、言い訳が多い部下に対しては、
叱ることが必ずしも良い結果につながるとは限りません。
その理由を見ていきましょう。
防衛反応が強くなってしまう
言い訳が多い部下は、もともと
「自分は責められている」
「否定されるかもしれない」
という不安を強く抱えています。
その状態で叱られると、
素直に受け止めるよりも、さらに自分を守ろうとして
- ますます言い訳を重ねる
- 本音を話さなくなる
といった防衛反応が強くなってしまいます。
結果として、問題の本質が見えにくくなります。
指示待ち・他責思考が強まる
叱られる経験が続くと、部下は
「自分で判断すると怒られる」
「言われたことだけやっていればいい」
と考えるようになります。
その結果、
- 自分で考えなくなる
- 何かあれば周囲のせいにする
といった姿勢が強まり、
ますます言い訳が増える悪循環に陥ります。
上司との信頼関係が壊れやすい
叱られることが続くと、
部下は上司に対して
「分かってもらえない存在」
という印象を持ちやすくなります。
そうなると、
- 困っていても相談しない
- 問題を抱え込む
といった行動につながり、
結果的にトラブルが大きくなってから表面化してしまいます。
叱ること自体が悪いわけではありません。
ただ、言い訳ばかりする部下に対しては、
叱る前に必要な関わり方があるのです。
次の章では、
言い訳を放置するとどのような結果につながるのかを見ていきます。
放置するとどうなる?言い訳ばかりする部下の末路

「そのうち本人が気づくだろう」
「今は忙しいから様子を見よう」
言い訳が多い部下に対して、
そう考えてしまうこともあるかもしれません。
しかし、何も手を打たずに放置してしまうと、
部下本人にとっても、職場全体にとっても、
少しずつ負担が大きくなっていきます。
成長が止まってしまう
言い訳をして仕事を避ける状態が続くと、
新しいことに挑戦する機会が減っていきます。
失敗を経験しないということは、
学ぶチャンスも失っているということです。
その結果、
年数だけが増え、スキルや自信が育たないままになってしまいます。
周囲から仕事を任されなくなる
言い訳が多いと、
「この人に任せると進まない」
という印象を持たれやすくなります。
悪気はなくても、
周囲は自然とその人を避け、
大事な仕事を頼まなくなっていきます。
本人が気づかないうちに、
経験を積む機会が減ってしまうのです。
職場で孤立しやすくなる
仕事を任されず、相談も減っていくと、
職場の中で孤立しやすくなります。
「自分は必要とされていない」
と感じるようになり、
さらに仕事への意欲が下がるという悪循環に陥ります。
言い訳ばかりする状態は、
時間が経てば自然に解決するものではありません。
だからこそ、上司が早い段階で関わり方を変えることが大切です。
次の章では、
「叱らずに改善する5つの指導法」を具体的に紹介します。
言い訳ばかりする部下を改善する5つの指導法【叱らずに】

言い訳ばかりする部下を変えようとするとき、
大切なのは「正そう」とすることではなく、
行動しやすい環境を整えることです。
ここでは、今日から実践できる5つの指導法を紹介します。
① まずは言い訳を否定せず、最後まで聴く
部下が言い訳をしてきたとき、
途中で遮ったり、正論を返したくなる気持ちは自然なものです。
ですが、まずは一度、
評価や反論をせずに最後まで話を聴くようにしましょう。
「そう考えたんだね」
「そういう状況だったんだね」
と受け止めてもらえるだけで、
部下は少しずつ心を開きやすくなります。
② 失敗の原因を「一緒に」言語化する
次に大切なのは、
「誰が悪いか」ではなく
「何が起きていたのか」に目を向けることです。
- どこでつまずいたのか
- 何が分かりにくかったのか
を一緒に整理していくことで、
部下は責められていると感じにくくなります。
上司が隣にいる感覚を持てることがポイントです。
③ 仕事を小さく切り、成功体験を作る
言い訳が多い部下は、
仕事全体を「難しそう」「失敗しそう」と感じています。
その場合は、
- 期限を短くする
- 作業を細かく分ける
など、仕事のハードルを下げてあげましょう。
小さな成功体験を積み重ねることで、
「やってみよう」という気持ちが育っていきます。
④ 途中経過を必ずフォローする
「任せたから大丈夫だろう」と放置してしまうと、
不安を感じた部下は再び言い訳に頼ってしまいます。
- 進み具合を確認する
- 困っていないか声をかける
といったフォローをすることで、
安心して仕事に向き合えるようになります。
⑤ 結果よりもプロセスを評価して褒める
うまくいったかどうかだけでなく、
- 取り組もうとした姿勢
- 工夫した点
- 前回より改善した点
を言葉にして伝えましょう。
「見てくれている」と感じることで、
部下のやる気は少しずつ引き出されていきます。
言い訳ばかりする部下は、
適切な関わりを続けることで、
自分から動けるようになっていきます。
次の章では、
それでも改善が見られない場合の考え方についてお伝えします。
それでも改善しない場合の考え方

5つの指導法を試しても、
部下の言い訳がすぐに減らないこともあります。
そんなときは、焦らず「自分の責任」と考えすぎないことが大切です。
役割・期待値が曖昧になっていないか確認する
部下が動かない原因は、
必ずしも本人だけの問題ではありません。
- 何を期待されているのか分かっていない
- どこまでやれば良いか判断できない
このような場合、部下は自分から行動できません。
まずは仕事の範囲や役割を明確に伝えることが必要です。
指導ではなく配置や仕事量の問題かもしれない
部下が言い訳を繰り返す背景には、
- 過剰な仕事量
- 適性に合わない業務
などが関係していることもあります。
叱る前に、仕事の内容や量を見直す視点も重要です。
上司が一人で抱え込まなくていい
改善が進まないと、上司はどうしても
「自分の指導が足りないのでは…」
と感じがちです。
しかし、すべてを一人で抱え込む必要はありません。
チーム全体でサポートする、他の上司や同僚に相談する
といった柔軟な対応も、時には必要です。
部下がすぐに変わらなくても、上司が冷静に関わることで、
少しずつ行動や意識の変化は生まれます。
言い訳ばかりする部下は「関わり方」で変えられる
部下が言い訳ばかりしていても、
それは本人の性格の問題ではなく、関わり方次第で変えられるサインです。
叱っても逆効果になることが多いので、
大切なのは「理解→伴走」の姿勢です。
部下の話をじっくり聴く
言い訳をしている背景には、不安や自信のなさがあります。
まずは話を最後まで聴き、受け止めること。
それだけでも、部下は安心して自分の課題に向き合いやすくなります。
一緒に考え、少しずつ行動を変える
失敗の原因や改善策を一緒に考え、
小さな成功体験を重ねていくことがポイントです。
部下が自分で考え行動できるようになると、
言い訳が減り、仕事への意欲も自然に上がっていきます。
信頼関係が職場全体をスムーズにする
上司が部下を信頼し、適切に伴走することで、
職場の雰囲気も良くなり、チーム全体の生産性が上がります。
小さな関わりの積み重ねが、
部下の成長と、上司自身の働きやすさにつながるのです。
まとめ
- 言い訳ばかりの部下は、叱るより「理解→伴走」が有効
- 話を聴き、一緒に考え、成功体験を積ませることが大切
- 信頼関係を築くことで、職場全体の雰囲気も良くなる
部下のやる気を引き出すには、日々のちょっとした関わり方が大きな差になります。
もし、部下とのコミュニケーション力をもっと高めたいなら、
【人間関係がうまくいく!伝え方コミュニケーション検定】の学習もおすすめです。
この検定で学ぶと、部下のやる気を引き出しながら、信頼関係を築くスキルを身につけることができます。
